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2018年2月25日(日)新大久保にある高麗博物館見学を行いました。参加者は10名。
博物館のボランティアの方の説明を聞きながら収蔵品の展示を見たり触ったりしました。
そして、チョゴリの体験もしました。男性用は「パジチョゴリ」、女性用は「チマチョゴリ」といいます。ルーツは日本の着物と一緒という説明に一同感動。
高麗博物館 見学記
初めての蔵出し収蔵展は、見所満載でした
【 新大久保のコリアタウンは様変わり 】
3月25日、高麗博物館の見学に参加しました。多くの学びと感動の体験をつづりたいと思います。
11時45分、新大久保駅に8人が集合しました。改札を出たところの道路はごった返していて、人が行き交うのもやっとというほどでした。駅からコリアタウンへ向かいましたが、右を見ても左を見ても、ほとんどが若い世代で、驚きました。私が訪れた今から十数年前とはその光景は全く違っていました。2002年の日韓サッカーW杯開催の際には、両国の若者が集い、大型スクリーンで観戦し「友好の象徴」と呼ばれた新大久保。さらに韓流ドラマブームがおきていたからでしょう。中高年の女性の姿も多く、韓流グッズを楽し気に買い物をしたり、食事をする様子を見かけたものです。しかし、その後2013年以降の、ヘイトスピーチデモなどにより商店街を訪れる日本人の買い物客も激減し、今年の1月には、かつて「友好の象徴」となっていた店も閉店したと聞いていました。慰安婦問題を、10億円でことを済ませたとする日本政府。本質的な解決への道を求める韓国政府。この乖離が、新大久保にも影を落としているように思いました。早く日本人がまた多く訪れる街になる日が来ますように。
ちょうど食事時間でしたので、コリアタウンは大賑わいで、食べ物屋には、どこも行列。その人混みをかきわけながら、Nさんが予約して下さった「イタロー」にようやく到着。楽しいランチタイムになりました。私は、チーズ入り石焼ビビンバを注文し、なかなかの美味でした。[高嶋道1] 満腹になったところで、目的の博物館へ向かいました。
【 高麗博物館の特別展 】
第二韓国広場ビルの7階にあるこの博物館に着くと、メールで申し込みをされていたHYさんが待機されていました。早速博物館の説明を村上さんからお聞きしました。「日本人と在日韓国・在日朝鮮人市民によって日本とコリアの交流を願って歴史博物館をつくろう」との主旨で1990年に「つくる会」が発足。以後学習やイベントなど地道な活動を積み重ねて、NPO法人として2001年にオープンしたとのこと。この博物館のフロアスペースは、ビルの持ち主の提供によるもので、運営資金は寄付と会員による会費で、仕事はボランティアの活動でまかなっているそうです。静かな口調でしたが、熱い志が伝わってきました。(途中からSさんが参加)
淡々とお話された中で、とても、気になることがありました。ここは民間の博物館なので、自分たちの判断で展示ができます。昨今は(国)公立の博物館では、自己規制がおこなわれることもありますから。例えば、佐原の国立歴史博物館でも展示できなかった河目悌二の描いた『関東大震災朝鮮人虐殺図』をここでは展示しました」と触れられたことです。この絵は、私も関わっている学び舎発行の中学歴史教科書(P217)のコラムに掲載されているものです。歴博もそのような判断をするのでしょうか、信じがたいことです。事実を確認したいと思います。
今回の展示物は初めての蔵出しで、どれも貴重なもの。 所狭しと並べられた60点ほどの展示物について、岩橋さんから丁寧な解説もいただき、大変勉強になりました。
印象深かったもののうちいくつかについて、ご報告します。
*素焼きの「ハルモニ像」。 沖縄で従軍慰安婦にされた朝鮮出身の女性がモデルだそうです。膝を立て、両腕で頭を抱え顔を埋め込んだ姿。その悲しみの深さをそっと抱くようにふっくらとした像です。外側には田園風景も描かれています。彼女の故郷でしょうか。柔らかで温もりのある色彩で、作家金九漢さんのやさしい眼差しを感じました。(写真あり)
*安重根の獄中書はソウルの記念館で何度も見ているのですが、複製とはいえ、この日本で見ていることに静かな感動を覚えました。落款印として黒々とした手形が押されています。(写真あり)
左手の指の一節目が欠けています。1909年の正月、「断指同盟」の血判状をつくった際に実行されたのですが、決死の覚悟が生々しく、強い意志が伝わってきます。
*3・1独立宣言文 1919年3月1日に街頭で撒かれた宣言文(コピー) 文面は知っていましたが、原寸大の形として見たのは初めてでした。
*刺しゅう絵画「無窮花」 実に美しい刺繍です優れた工芸品です。目を凝らして見ると無窮花を巧みに配置してあり、そこには、朝鮮半島が描かれているのです。2008年まで川崎の桜本で暮らした方の作品です。朝鮮民族の統一国家を夢見ての悲願の思いが溢れていました。(写真あり)
*その他
青磁や白磁の花瓶や壺、器各種にも心惹かれました。安らぎを感じます。
日清戦争時の錦絵(そのプロパガンダ)、朝鮮銀行券(お札の絵はすべて武内宿祢だった!)
朝鮮の楽器、琴、銅鑼、 笛、鼓、太鼓も、演奏を聞きたかったです。
*極め付けは婚礼衣装の着用でした。気品の漂うお二人、写真をごらんください。
なお、今までの企画展は、どれもパンフレットにまとめられ、販売されています。『失われた朝鮮文化遺産』(2009年)『朝鮮料理店・産業「慰安所」と朝鮮の女性たち』(2017年、)
『焼肉・キムチ大好き 在日の食文化と日本』(2011年)を購入。とても読みやすく、まとまっていて夢中で読みました。教材にも利用できると思います。
今回の企画展は4月1日までです。
次回企画展は、「在日韓国・朝鮮人の野戦後 語りと写真で見る」です。(4月4日~7月1日)
今回の見学で、日本人・在日韓国人・在日朝鮮人が、原始以来の長い交流の歴史に向き合い、現実を見つめ、さらに未来を見据える貴重な博物館であることを実感しました。今後、展示のほか、講演会や、連続講座などにも参加してみたいと思います。 (TM記)
写真左…ペ・ポンギさんをモデルにした「慰安婦」像
写真中…刺繍による「朝鮮半島」
写真右…安重根の書にある「手形」