2019年度 湘南支部

2020年2月 湘南支部例会の報告

日時  2020年21日(土)

    参加者25名 

前川さんの発言より一部抜粋

・講演活動をしているが、呼ぶ人は安倍さんを支持していない人ばかりで、世の中にいる人すべてがそうではないかとも思うこともある。しかし、安倍さんを支持している人は、考えていない人ばかり。こういった人と話をしてくださいと講演で話すようにしている。

 

・文科省では外的事項は行政、内的事項は現場に任せるべきだと言われていて、今もそう思

っている人は多い。自身は文科省で外的事項を扱ってきた。

 

・教員の勤務実態調査にて、教員の勤務時間が増えている。日本の教員は働く時間が世界一。子どもが減っているが、子どもの数に応じた学校が減っているわけではない。ただ、部活は減らずに残っている。教員が多忙であることには変わりがないが、上から言われている仕事が多く、それが教員が多忙だという認識に結びつく。日本会議系の人々が土足で教育現場に踏み込んでくる。彼らの関心の1は歴史、2は道徳、3が性教育。昔は修身という科目があったが、GHQの施策で日本史(神話から始まる歴史)もろとも削除された。で社会科が設定された時に修身の教員が社会科へと移る。

 

・「文科省」という一つの意思があるわけではない。文科省本来の考えは、大学は学問の自由が認められている場所であり、学生にも選択の自由があり、状況に応じた支援が行われるべきだが、それを文科省が締め付けてしまっている。学習指導要領は細かく書きすぎている。学習指導要領に書けば、教育を変えられると思いあがっているところがある。現場での自由を認めた方がよい。

 

・教育基本法2006年改正で「公共」という言葉が入ってきたが、日本会議系の人々が考える「公共」はお上が与えるものだというもの。現在公共の中身はそこまでひどいものになっていないが、これから様々な形で入ってくる可能性がある。教育の助成は機関助成(法人への助成)と個人助成(奨学金など)とがある。民主党政権時に公立は全て無償になった。私立は様々な学校があるので、高い金額を取るところ(年間100万円など)は全て無償にする必要はないと思うが、ある程度のところまでは無償にするべき。義務教育に対しての公費負担はそれなりだが、幼稚園と高校になると私費負担が増える傾向にある。全員を無償するというよりは、全員に給付をし、税金で取る形(累進課税のような)が良いと思う。

国連人権規約でも教育の無償についての記載がある。所得に応じて支援(給付型奨学金のような)をするシステムがあって然るべき。実は給付型奨学金を設定したのは安倍政権。最近の自民党にしては珍しい政策。

 

・若い人に向けて…

 偉い人の言うことをあまり聞かないで、自分で考えて仕事をしてほしい。教師は良い仕事。「学べ」と言われて学ぶのではなく、「学びたい」という意思に応じて学んでいくべきであると思う。「学問」は大学の専売特許ではない。自由に学問をし続けてほしい。

息苦しい時代を生きる為にアングラ的に活動するしかない。本心を隠しながら、組織と自分の本音の違和感を感じながら文科省で勤務していた。学校ごとの自治の確立。学校が役所化している。教育行政に関する人が教職出身である率が減っている。

 

参加者の感想

・前川さんの話を聞いて、現在の教育を取り巻く状況が、思いのほか深刻であると感じました。特に「思考停止」についての話が印象に残りました。

教育に限らず、政治の世界でも「思考停止」状態になっているのではないかと、近頃感じることがあります。自分にとって都合の良い意見だけを採り入れ、それ以外は認めない風潮。そのような雰囲気が人々を「思考停止」させているのではないでしょうか。

今回の前川さんの話は、そのような「思考停止」について、改めて考えさせられる内容でした。

 

・まず感じたのは前川さんの面白さです。気さくで、何というか「人たらし」のオーラが出ていたと思います。

ただ、内容ですが語弊を恐れず言うと消化不良なところがあります。というのも、「思考停止」する現場とどう切り結んでいくかと言う点に私の関心がありました。そこが、前川さんの話を聞いてもわからなかった、と言うのが理由です。

ただ、これは前川さんの落ち度ではなく、結局現場で解決すべき課題なのだと思います。が、教育の「思考停止」にどう立ち向かっていけるでしょうか。「学習指導要領から国民を守る党」とか作ったらいいんでしょうか?

とりあえず、手の届く範囲からやるしかないのでしょうか。いつの日か「面従腹背」しなくて言い日を目指して。

 

・前川さんの率直なお話を聞けてとてもためになった1日でした。

特に教育への政治介入については私が思っているより進んでいると感じました。教育の独立を守ることの重要性を改めて認識しました。

と同時に教育の独立と誇りをどう職場に伝えていくかの難しさも感じました。今の職場の若者が教育の独立をどの程度求めているかは疑問に思います。現場と政策を考えている場の違いも少々感じました。

 

・以前、横浜で講演会を聞いたことがあり、今回も含め前川さんなりの発信をされているのだなと感じました。大田堯先生の『教育内容としての真理の管理者としてもっとも危険なのは政治権力である』という言葉を思い出しました。現場では、人権意識の低さだけでなく教育は上から下への古い教育の観念に縛られているように感じます。今回の前川さんのお話も含め、まず知ることが現状を変える一歩になると感じ、私も自分なりに発信していきたいと思いました。ありがとうございました

 

・目の前の生徒に本当に伝えたいことは何か考えるきっかけになる対談でした。

特に印象に残っているのは臨時教育審議会で出された『学校は学ぶ力を育てる場』であるということ。

授業で教科書の内容をわかりやすく伝えることも大切だが、それ以上に、生徒が社会に対する問題意識を持てる機会を作ること、生徒が興味を持てる発問をすることなど「学びに向かうきっかけづくり」が教員の本当の役割な気がした。

また役に立つ学問と役に立たないと考えられる学問を選別する政府の姿勢に改めて疑問

を感じた。産業界の役に立つ『人材』ではなく、『人間』を育てることが教育の使命ではなかろうか。

 

・まず一番に驚いたことは、前川さんの気さくさです。前川さんには初めてお会いしたのですが、当初は文科省事務次官までいったということで、もっとお堅い人なのかと思っていましたが、話を聞くなかで、そのイメージが全く間違いであったことがわかりました。

次に、前川さんの知識量に驚かされました。色々な質問にも即座に反応され、様々な角度から意見を述べられていたのを見ながら、やはり事務次官まで行った人は違うなと感じました。

「思考停止」という言葉が強く印象に残っています。今の教育現場の多忙さを考えると「思考停止」になってしまうのもやむを得ないかもしれません。ただ、私たち教員も、ゆとりがないなりに「寄り添う」姿勢が失われているのではないかとも感じます。教員個人の責任を問う姿勢、前川さんも仰っていた「ことなかれ主義」、やりたいこと(授業や部活等)がやれない環境等々「思考停止」している教員に対して私たちが諦めてしまっている節もあるのではないか、そう感じました。

状況を変えていくためにはお互いに「理解」することが必要です。何に困っていて、どうすれば良いのか、改善出来ないことだとしても、不満を吐き出すだけでも違うのではないかと思います。

こういったサークル活動もそうですが、日常の教育現場でお互いを理解し、「寄り添う」ことができるかどうか、これは行政の人たちにも同じことが言えるでしょうし、「寄り添う」中で見えてくるものもあるでしょう。

食わず嫌いと、思い込みが人をあらぬ方向へと向かわせる、私たちからすれば「目の敵」と言ってしまってもおかしくない立場にいた前川さんの話を聞き、改めて「理解」することの重要性を考えさせられました。

 

 

2019年11月 湘南支部例会の報告

日 時:2019年1115日(金)18:3021:00
会 場:大和シリウス  603中会議室
内 容:①「優性思想を考える」(Mさん:高校)

     遺伝子操作、臓器移植意思表示カード、尊厳死、出生前診断などを、資料を用いて取り上げ、

     問意を投げかけて、性との意見をまとめ、生徒が多彩な反応を示していることが特徴的、その

     後の授業展開にどう生かすか? 問いをどう生かすか?大事な問題提起に対して、討論が続い

     た。

    ②「ナポレオンは自由平等を広めたといえるか」(青木さん:高校)

     グージュの『女権宣言』とナポレオン法典を並べ、女性蔑視の視点があることをとらえさせ、

     教科書の書き方はこれでいいのかを問う、初任者研修のこれからの実践プラン。Googleフォー

     ムを用いて生徒の意見を集めながら授業を行っている。

      質疑では、「フランス人権宣言をどれだけ生徒が理解しているのか、ということが前提では

     ないか。」「独立宣言なども、限られた人間のみの宣言となっている(有色人種は別)」「実

     践者の重点を置きたい点はどこか?」などの質問があり、「ナポレオンの登場で「自由・平

     等」が広がったととられる教科書の記述に疑問を持たせたい。グージュの宣言はそのまま人間

     宣言へとつながる。など応答が見られた。

 

 

2019年9月 湘南支部例会のお知らせ

日時:9月20日(金)18:30
会場:大和シリウス608号室 和室   *いつもと違います!
内容:「フランスで見たフレネ教育」
報告者:公立小学校  Sさん
  写真などの資料を持参し、この春参加したフレネ教育見学ツアーでの学びをおすそ分 

けをしてくださいます。

 

 

2019年7月 湘南支部例会の報告

720日(土)に大和の「シリウス」で湘南支部例会が行われました。

 

今回は千葉歴教協の先生方が作成した『子どもとつくる平和の教室』について、編者の和田先生と、小学校で沖縄について実践を行った三橋先生を神奈川までお招きして、報告を行ってもらいました。

 

以下、参加者の感想を紹介します。
加藤公明氏が発案の『子どもとつくる平和の教室』についてでした。まず和田報告で制作事情を聞きましたが、その中で本までこぎつける加藤氏の力を感じました。後進を高校現場・大学で育て、それを会員に繋げていく。そうした人材がこのあとで出てくるのか(でないとしたらどうすべきか)、ということを考えました。


また加藤実践をどう継承するかという意味で、三橋報告は新鮮でした。小学校で沖縄を「感じ」させるものでしたが、そのなかで『サトウキビ畑の唄』などで戦争についても自然体で学べていたことが印象的でした。この点は「沖縄」というと身構えてしまう中高の歴史と比較してみていくことで、非常に参考になると思います。お二方ともありがとうございました。

 

今回、他県の歴教協の先生方と交流したことは非常に大きな財産になりました。交流するとすれば全国大会ですが、親しい人でもない限りは、そこまで大きく交流をするわけではありません。そういった意味で、全国とは別に県単位で関わっていくことは、県の取り組みに新しい風を吹き込むことが出来るものだと思います。

 

次回日程については後日お知らせします。

 

 

 

2019年5月 湘南支部例会のお知らせ

次回の湘南支部例会は、2019年5月17日(金)18:30〜 大和シリウスです。
報告は…
Kさん(神奈川県立高校)
地理A実践報告 「儒教からみる中国と韓国の教え」
地理で中国地域を勉強していて、「儒教って何?」という生徒の問いから儒教を使った授業に挑戦。その時の失敗談を報告します。

Hさん(神奈川県立高校)
世界史B「高校生と性暴力について考える」
戦時下の様々な被害の中で日本軍『慰安婦』に焦点をあて実態を確認、そのような被害なぜおこったのか、現在の性暴力とつなげて考えました。