「昔から今へと続く片瀬こま」
藤沢市立小学校4年での実践
1、 単元について
片瀬こまは、新林小学校の学区でもある片瀬地区に、昔から続く伝統的なこまである。時代の変化もあり、地域に住んでいるが片瀬こまについて知らない子が多かった。
片瀬こまのルーツは、いくつか説があるが、昭和初期この地域には森林が多く、椿の木がたくさん生えていた。片瀬は、昔、漁師町だったため、漁がないときに漁師が、椿の木でこまを作り、古くなった麻の網を編んでひもにして作ったのが始まりかもしれないと聞いた。時代とともに需要が減り、今ではたった一人作り手の熊野さんしかいなくなり、後継者がいないという課題を抱えている。その一方で、こまを次の世代へ残そうと頑張って活動している地域の片瀬こま保存会の人がいる。そこで、子どもたちに地域の人に出会わせ、地域を見つめる機会にしたい、そして、地域に残る片瀬こまについて子どもたち自身が考えるよい機会なのではと思い、昨年度、10月と11月に教材として取り組んでみることにした。子どもたちが、学習を通して片瀬こまを知ることが、片瀬こまの未来につながればと思う。
2.単元の流れ(社会10時間+総合4時間+国語2時間)
①藤沢市に昔から今に残る、そして伝わるものや場所について話し合う。
〇藤沢宿・江の島・神光寺・藤沢駅・遊行寺・片瀬こま
②こま回し体験
〇湘南台文化センターの鈴木さんたちが、日本のいろいろな地方のこまや片瀬こまを紹介
〇子どもたちは、いろいろなこまを回す体験
③片瀬こまについて知ろう
〇鈴木さんの話をまとめる。
〇資料や昔の新聞を読む。
〇祖父母やお家の人の体験談を聞き合う。
④作り手の熊野さんの工房へ行く
〇作り手のこだわりを見つける。
〇質問
⑤熊野さんのこだわりをみんなで共有する。
〇新たな疑問を出し合う。
〇疑問から調べたいことごとにグループ
⑥グループで調べ学習(総合4)
大山こま・こまについて・片瀬こま保存会・こまの回る仕組み・昔の片瀬・椿の木
伊豆大島・麻について・世界のこま
〇片瀬の昔について社協の方から話を聞く
⑦調べたことを発表し、これからの片瀬こまについて考える
〇問題点と提案(アイデア)
⑧片瀬こま保存会の人に会う
〇活動内容や思いを聞く
〇片瀬こま回し体験
⑨片瀬こまカルタを作ろう(国語2)
〇クラスで楽しむ
〇1,2,3年生とカルタで遊ぶ(片瀬こまの紹介)
3.取り組んでみて
昨年度のパワフルな子どもたちにとって、教室から出て地域の人の話を聞いたりこま回し体験をしたりすることは、興味を持って取り組むことにつながった。また、片瀬こまから興味を広げ、多角的にとらえていくことが豊かな学びにつながると考え取り組んでみた。
これからの片瀬こまについて考える授業では、「後継者がいない」「知られていない」「値段が高い」など問題点を出し合い、自分たちができることとして「たくさんの人に知らせる」「市役所にお願いに行く」「キャラクターを作る」などいくつか出た。そして、「子どもまつり」で片瀬こま体験コーナーを作ったり宣伝の紙を着た人に配ったりすることに決まった。保存会の人が、「伊豆大島の町長が新林小の学習を知り、協力してくれることになった」ことを子どもたちに報告してくれたことは、子どもたちにとって大きな励みになった。また、廊下に片瀬こまコーナーを設けると、休み時間に夢中でこまを回すたくさんの子どもたちの姿が見られた。(2学期中ずっと楽しんでいた。)片瀬こまのことを知るだけでなく、こまを回す楽しさも体験を通して実感できたことは、子どもたちにとって、片瀬こまへの親しみや愛着を持てたのではないかと思う。
調べ学習では、一方的な情報でしかないインターネットをいつ使うか、見極めることが大事であると感じた。また、情報量が多く、そこから選ぶことは4年生には難しいと感じた。人から聞く、電話で聞く、本で調べるなど様々な調べ方や学び方を通して、これからも子どもたちの可能性を広げていきたい。
また、子どもたちが「市役所にお願いに行く」「キャラクターを作る」など出た意見を取り上げ、行動を起こす(市役所の人から話を聞くなど)こともできたのではないかと思う。
「片瀬こま」の学習を取り組むにあたり、子どもたちにどんな地域の人に出会わせるか、片瀬こまの単元をどのようにして構成したらよいか悩み、単元構成の難しさを感じた。子どもたちの実態から考えて、あえて出口から入り、片瀬こまを回すことを楽しむことからはじめた。導入の段階で、こま回し体験を入れることで、子どもたちが興味を持つきっかけになったのは大きかったように思う。
これからも地域を通して、豊かな社会認識につながる学びを子どもたちと共につくっていきたい。
たくさんの高校生がアルバイトをしています。
しかし、その多くが「非正規労働者」として無権利状態ともいえる状況で働かされているのが実態のようです。
そこに切り込んだ授業をN高校Yさんが行いました。
詳しい実践内容を知りたい方は、下記ファイルを開いてください。
3年の必修選択科目で1学期に実施した基本的人権・平和主義の自作プリントを使った授業です。
自作プリント―表面は、日本国憲法の人権規定・平和主義に関する内容。
裏面は、堤未果著『真実の見つけ方』の抜粋
未だ謎の多い土偶から、生徒たちは何を受け止めるだろうか?
疑問を大切にし、歴史像や時代像を、生徒自身が作っていく主体として学びを獲得させたい。
「縄文時代に生きた人たちは?」-3時間扱いの授業です。