日時 2020年2月9日
報告者とテーマ
◇宮下和洋 「普通科職業コースの特別支援学校における授業づくり」
◇津田隆広 「知的特別支援学校における生活単元学習の取り組み」
参加者 7名 (小:1名 中:2名 特別支援学校:4名)
【発表者より】
◎宮下 和洋さん
今回、特別支援教育の授業づくりについて、話をさせていただきましたが、日々の業務に追われ、まだまだ自分の授業実践と呼べるものが少ないと感じました。来年度はじっくりと授業づくりに時間を取り、皆様に少しでも役立つ、為になる実践を報告できればと思います。ありがとうございました。
◎津田 隆広さん
今回は発表させていただきありがとうございました。共に発表した宮下さんとは同じ大学の友人であり、授業づくり講座で以前も一緒に発表させていただきました。その頃は、お互い特別支援教育というものを勉強中で拙いものだった記憶がありますが、今回発表をして、発表を聞いて、お互い成長し日々頑張れていることが再確認できました。特別支援教育は他の校種に比べまだまだ未知の世界と捉えられがちなので、もっと特別支援教育が身近なものになるよう私なりに努力を続けていきたいです。
【参加者の感想】
〇宮下さんの発表より
・職業教育だけでなく、人との関りなどを通して、自分を理解していくことや必要な能力を育むことを知りました。
・千葉県の様子が聞けて良かったです。「なぜ」「どうする」を大切にしている様子が伺えました。
・分校の様子がわかり勉強になりました。
〇津田さんの発表より
・特別支援学校で仕事をしていて驚いたこととして、食に対する関心が薄い子どもがいるということでした。津田さんの実践から食に関心を持てるようになる子どもが出てくることは良いなと思いました。私が働いている学校もデザートが好きな児童が多いので、さつまいもの授業や読み聞かせから食の幅を広げていけると良いなと思いました。また、生活単元学習の意味についても理解を深めることができたので、授業の目的なども考えていきたいと感じました。
・環境設定の大切さを改めて実感することができました。
・生活単元の取り組みでは、様々な先生方を巻き込み授業実践を行う、津田君のパワーに感動しました。特別支援はティームティーチングの文化が通常学級と比べてしっかりとあるので、みんなで授業づくりを行うことは私も見習いたいと思いました。(分校だと1人で授業を行うことが多いので…)
〇お二人の話から
・毎年この2月の講座で特別支援教育についての報告を聞かせていただき、毎回新たな発見があり、興味深い講座となっています。障害の程度や年齢段階によって実に多様な実践があり、課題も複雑だということに気づかされます。小学部の生活単元学習は戦後初期社会科のコアカリキュラムの実践、そして現在の生活科や総合学習の実践ともつながっているのだと思いました。一般の学校では、教科の縦割りがより強くなり、教科間の関連性や合科的な取り組みが弱くなっていると思います。それぞれに学び合うことが必要だと感じました。
・特別支援学校について、さらに多面的に深く知ることができました。お二人の準備、お話の深さを思うと、もっとたくさんの人に聞いてほしかったなあと思います。宮下さんのお話の最後に「より良い人生を送ることを目標に」という言葉がありました。子どもたちへの暖かさが心にしみました。特別支援学校・学級への赴任を希望していなくて、学ぶ姿勢もない教員も多く存在する現実の一方でお二人が真摯な教員生活を重ねてきたことに感じ入りました。
・「環境を整える」という視点が今の自分や学校に抜けているところだと思いました。教室の掲示や廊下の掲示など、すぐにでも変えられるところが意識すればいくつもあるので、見直してみたいと感じました。とにかく経験させてみる。社会で必要なことを身に着けさせるということは通常学級でも同じことなのですが、特別支援学校ほど意識できていないような気がします。通常学級でも何か上手くいかないことがあったり、課題が見つかったりしたときには、特別支援の視点に立って考えてみることも大切なのだと思いました。
社会科業づくり講座
~2月 実行委員報告会のご案内~
テーマ |
特別支援教育 『夢を持ち、社会を生きる子ども達にできること』 |
発表者 |
宮下 和洋 (千葉県 特別支援学校教員) 津田 隆広 (埼玉県 特別支援学校教員) |
講座 内容 |
宮下和洋 「普通科職業コースの特別支援学校における授業づくり」 卒業後に就労を目指す軽度知的障害の生徒が通う特別支援学校における授業づくりについて報告します。通常校にはない「コース実習」や「地域実習」をはじめ各教科の学習ではどんなことに取り組んでいるのかをご紹介したいと思います。 津田隆広 「知的特別支援学校における生活単元学習の取り組み」 通常学校の先生方にとってなかなか馴染みの薄い特別支援学校の実情や、なぜ生活単元学習を選ぶに至ったのかなど、わかりやすくお伝えできる報告にしたいと考えております。 |
1.参加者 13名(講師含む)
小:2名 中:6名 高:3名 学生:1名 特別支援学校:1名
2.川島啓一先生(講師)より
今回授業づくり講座にお呼びいただきありがとうございました。改めて自分の実践を振り返る良い機会となりました。皆さん、楽しそうに綿糸を紡ぎ出す作業に熱中されていました。スピードや効率ばかり求められる時代ですが、こういう、ゆるーい時間の中に、この先の日本を考えるヒントがあるように改めて感じました。糸と一緒に、人のつながりも紡ぎだされたら幸甚です。
3.講座参加者の感想
●身近な着る、身に付けるもの綿からスタートして江戸時代、産業革命そしてグローバル社会の今、未来へとつながる問題提起をふくんだ壮大な授業提案、ワクワクしてきかせていただきました。ありがとうございました。
●授業づくりのヒントを得るために参加させて頂きました。
・歴史の出来事を1つだけにするのではなく、横のつながりを考えると理解しやすい。
・綿という導入でも歴史や、当時の時代背景、人々の暮らし、そして、現在のグローバル化にあるデメリットと学ぶポイントが多くあり、生徒はここから気になる点を深く学んでいくことになると思った。
・将来をきっかけに生徒の好奇心を高めるような授業づくりをしたいと思った。
●“わた”1つで、こんなにも社会を切り取る視点が生まれるのだと感じ、非常に面白かったです。どんな地域や年代も扱うことができるものという意味では、“わた”から人間の本質を見れる教材だと思いました。
●いろいろなことに興味をもち、それを深めて教材化しているものをうらやましく感じました。体験だけでなく、最後は「重い話」までしっかりつながる流れをつくっているのは、すばらしいと思います。自分では、やりっぱなしのことが多いので…
●綿は歴史の中で重要なのに、あまりうまく扱えていなかったので、授業へのヒントをたくさんいただき、これを使って授業をするのが、とても楽しみになりました。川島先生がとにかく楽しそうに話をなさっていたのが、とても印象的でした。それでこそ、楽しい授業ができるのだなと思いました。アイヌの授業もどのようにしているのか、お話をきいてみたいと思いました。
●体験をしながら楽しくたくさんのことを学ぶことができました。綿花も今回初めて見ました。実物を見たり、体験をしたりするだけで同じことでも興味を持って学習できるのだと思いました。
●一つの事にこだわり自分が楽しみながら視野を広げていくという姿勢に学びたいと思いました。様々な実物を持って来ていただきありがとうございました。
●ありがとうございました。イギリスの貿易史が好きでして、“綿”というキーワードに興味をひかれ、またトーク&チョークから脱したい気持ちで参加させていただきました。貧困問題やブラック労働にも関心があったので、今回の勉強は自分にとって本当におもしろいものでした。また参加させていただきたいと思います。
●今回は綿をテーマに、歴史・地理・文化のすべてにわたって実技も講演も全面的に展開していただいた。何よりも川島さん自身が楽しく意欲に学ぶからこそ生徒にも伝わり、生徒の好奇心を引き出し、意欲的なとりくみにつながっているのだと思う。衣食住全てにわたって生活と密着した学びの広がり、今後も他の人たち特に若い人たちに伝えていってほしい。
4.担当者より
11月の授業づくり講座にご参加いただきありがとうございました。川島先生の“綿”をテーマに綿花から糸を紡ぐ体験や、自分たちの身近にも綿が使われたものは衣類だけでなく身近なスーパーに置いてある綿実油など生活の一部になっていることを学びました。そして、綿を紡ぐことが江戸時代、産業革命と時代が流れていく中で生産性の向上とともに貧困層の問題(海外における低賃金で過酷な環境で働く人々の実態がある)があることなど、知ることができました。“綿”を通して様々なことを伝え考えさせてくれる話ができるのは、川島先生自身が学びのアンテナをしっかり持っていて、好奇心をもって楽しそうに学んでいるからこそなのだと思いました。だからこそ、生徒たちにもそのことが伝わり、より良い授業につながるのだと思いました。川島先生の授業を通して学んだことを少しでも生かせるように今後の学びに生かしていきたいと思います。 (角之倉宏彰)
日 時 2019年10月13日(日) 10:00~16:00
場 所 国立歴史民俗博物館 (千葉県佐倉)
テーマ ジェンダーの視点から歴博を見学する
講 師 国立歴史民俗博物館教授 横山百合子さん
集 合 チラシをご覧ください。
内 容 講師からジェンダー教育や博物館の目的や役割などを解説していただきます。
その後、グループでの見学や発表会を予定しています。
その他 詳細については下記チラシをご覧ください。
日 時:2019年9月8日(日)10:00~13:00
*終了後、ご都合のつく方で昼食会を行います。
(出欠は当日お聞きします。)
会 場:東京学芸大学附属竹早中学校(春日通りに面しています)
テーマ:「ALL OUT~授業づくり・学年づくり・部活動~」
講 師:飯塚喜大さん(中学校教員)
参加費:500円(学生200円)
《6月授業づくり講座のまとめ》
地域と戦争の関係を追究した平和学習
―なぜ、長野県の人がつくば市まで来て芝畑を作ったのか?ー
日 時:2019年6月9日(日)
講 師:石上 徳千代 さん(牛久市立神谷小学校)
担当実行委員:森下周亮 参加者:13名(小学校4名 中学校5名 高校2名 特別支援学校1名 その他1名)
1.参加者の感想
・つくばの芝栽培を通して、戦争の歴史を辿るという授業の方法がとても面白く、参考に なりました。
・子どもたちの疑問が生かされ、子どもを第一にした授業実践を知ることができ、とても 勉強になりました。身近な題材を通して、子どもたちの「なぜ?」を引き出しながら授 業を行うことを自分も意識して、日々の授業に取り組んでいきたいと思いました。
・授業規律など、「形」だけでなく「中身」で子どもが自然と学びたくなる雰囲気の授業 を自分も大切にしていきたいと思いました。
・教師は、「子どもたちに学びを提供する立場」であり、「子どもがどう学んでいるかを 大切にしたい」という姿勢がひしひしと伝わる実践報告で、とても参考になりました。
・自分の職場の現状と比べながら、外へ足を運んで学ぶことの大切さを学びました。
・身近な物事に疑問をもって、子どもたちと学ぶことの楽しさを教わりました。
・石上先生の普段の授業の様子が分かり、このことも今回の講座の大きな魅力でした。
2.講師からのコメント
この度は授業づくり講座で報告の機会をいただき、ありがとうございました。拙い報告でしたが、皆さんが真剣に聴いてくださったので、たいへんありがたかったです。
今回の報告では、自分自身が気になっていた地域の事象を取り上げ、「なぜ」と問いかける問いを用意しました。調べれば調べるほど気になる事実につながり、わくわくしながら教材研究をしました。その様子も伝えられればと思い報告しましたが、うまく伝わったか自信がありません。しかし、自分の授業を振り返る貴重な機会となりましたので、授業づくり講座のみなさんには心からお礼を申しあげたいと思います。
また、質疑応答の中で、授業の進め方について、各地域で進められている画一化、形式化について議論になりました。私自身も最近の傾向を知る機会となり、たいへん勉強になりました。授業の形式化は、子どもの学びを妨げることにつながると思います。その点で、授業で子どもに向き合っている教師の判断がもっと尊重されるべきです。そのような意見交換もできたので、たいへん有意義な時間でした。これからも子どもの学びを大切にする授業づくり講座であってほしいと思います。ありがとうございました。
3.担当実行委員より
今回の講師、石上先生には、小学校4年生の社会科の実践を通して、授業づくりのポイントや考え方について話していただきました。学習の流れや使った資料、子どもたちの活動の様子なども、詳しく話していただき、実際の授業の様子が目に浮かぶようで、3時間という時間があっという間に感じました。
今回は、芝畑を起点とした授業実践を提供していただきましたが、身近な物事が少し見方を変えたり、取り上げ方を工夫したりするだけで、これほどまでに有用な教材になるのだということに、とても驚きました。子どもにとって面白く、深い学びになる授業をつくるためには、教科書や資料集だけでなく、身の回りのあらゆる物事や出来事に対して、高くアンテナを張っていなければならないのだということを強く感じさせられました。また、石上先生の授業では、子どもたちの疑問をとても大切にされているということが伝わってきました。子どもたちの疑問も、授業を組み立てていく上で、欠かせないものなのだということを学びました。
質疑応答では、社会科の授業に限らず、石上先生の授業を組み立てる上での考え方やテクニックなどもたくさん学ぶことができ、とても収穫の多い講座だったと思います。
今年度最初の講座でしたが、お忙しい中にもかかわらず、少しの時間でもと参加してくださった方も何人かいました。ありがとうございました。講座の内容はもちろんですが、様々な地域、校種の方が集まって話をすることで、今までになかった視点で物事を見ることができるようになるということも、この講座の魅力の一つだと思います。
次回の講座は9月の開催になりますが、多くの方の参加をお待ちしています。