「若手教員からの報告
小学校3年目、特別支援学校1年目の実践を振り返って」
2019年2月10日(日) 報告者 森下周亮(小学校教員)
角之倉宏彰(特別支援学校介護職員)
参加者 10名
1.報告者の感想
・今回報告して、特別支援について共有する機会をもてたのは良かったです。私自身も学校介護職員として学校現場で仕事するようになってから、特別支援学校について深く知るようになりました。そして、報告を通して、私自身の今後の課題なども見えてきたので、「自分ならどうするか」や、学習の意図など、学習指導要領を見ながら理解していくことをやっていきながら、特別支援学校の教員になれるように取り組んでいこうと思います。ありがとうございました。(角之倉宏彰)
・報告の作成や発表を通して、自分の考えがまとまり、次にしなければいけないことがはっきりしました。参加者の方からは、貴重なご意見をいただくことができ、これまでの自分の実践を違った視点から見直すことができました。課題に向けて、どのように取り組んでいけばよいのかが、より具体的になったと思います。
今回は理科という教科での発表でしたが、ここで学んだことは、社会科をはじめ他の教科でも生かせると思います。また、大切なことや軸となる部分は、どの教科でも同じはずだと考えています。これからも、教科や分野にとらわれず、様々なことに挑戦していき、それを今回のように表に出していくことで、深めていくことができればと思います。(森下周亮)
2.参加者の感想
・特別支援学校の実態について、少しイメージが持てました。普通の学校と違うこともある一方で子どもとの関係を大切にしていくということは同じで、特支の方がその意識が強いのかもと感じました。特別支援は教育の原点とも言われるので、これからの自分の力にしていきたいと思います。
・〈角之倉さん〉発表ありがとうございました。レジュメにもありましたが、子どもがまず「やってみたい!」と思えるような、興味関心を引く工夫は本当に必要だなぁと改めて思いました。教員と学校介護職員の協働はこれから先も課題だと思いますが、お互いにアプローチしながらよいチームワークでやっていけるといいなと思いました。
〈森下さん〉発表ありがとうございました。同じ理科の教員として学ぶことがたくさんありました。(私は中・高ですが…)実験はやっぱり子どもの興味を引くと思いますし、考えさせる手立てにもなりますよね、時間が足りないな~と思うこと多々ですよね……成果と課題も納得のいく発表でした。森下さんの授業楽しそうで私も受けてみたいと思いました。
・若手の一生懸命とりくんでいる実践の報告を聞くことができてうれしい。フレッシュな感じです。どうとりくんでいるかがよくわかり参考になりました。
・とにかく若い方のレポート、がんばっているようすを知ることができたのがうれしかったです。これからもぜひたくさんのレポートを書いて先輩や仲間からの意見を聞いてがんばっていってほしいです。
・授業の中では、普段子どもたち自身が学んだ知識ではなくて、授業で学んだ知識を使うことが多いですが、本で読んで知っていることなどや自分で考えて予想を立てている様子が見られたのは良かったです。児童の考えを引き出せる理科の授業になっているというのが伝わってきたので、参考にしていきたいと思いました。
・特別支援学校のことは知らないことばかりでしたので、今日の報告を聞いて、学校介護職員の大変さや、やりがいについて知ることができてよかったです。1年目にしてよく頑張っていらっしゃるなと思いました。子供たちとの信頼関係が大事だというのは、普通級と同じで、これからも1人1人の思いを大切にしていこうと思わせていただきました。
理科の報告の方も、とても聞きごたえのあるものでした。適用実験、私もやってみよう!と思いました。そして、森下さんのように、子どもたちが自分ごととして捉え、主体的に学べる授業をしたいです。今日の報告が聞けてよかったです。現場に戻っても、時間が許す限りなるべく今日のような研修会に参加したいと思います。
◎テーマ
「『困難さ』を持つ生徒たちが私に教えてくれたこと」
◎講師
日達 綾さん(神奈川県立高校教員)
◎参加者数 10名(講師含む)
内訳・・・大学生:1名 小学校:2名 中学校:4名 高校:2名
特別支援学校:1名
◎参加者の感想
◎日達さんからのコメント
大好きな授業づくり講座に講師としてお招き頂き、ありがとうございました。そしてお忙しい中、講座を企画・運営してくださっている実行員、顧問の皆さまに感謝申し上げます。私はスーパーティチャーではないので、中堅どころとしてのちょっとした自分なりのコツなら話題提供出来るかなという感じでお引き受けしました。今までの講座の雰囲気とは違いましたが、ご参加の方たちのお話もたくさん伺うことが出来、私もとっても楽しかったです。講座に対する意見で「あまり優秀でない教員が則マネをできるような授業例」というものがありました。スゴイ実践を伺うことも勉強になるのですが、明日の授業に指導にすぐ使える諸々が欲しいというのも現場の切実な願いだと思います。この授業づくり講座でも、バランス良くどちらのニーズにも応えられるような企画をこれからも組んでいただけたら嬉しいです。
2018年9月16日(日)10:00~13:00
東京学芸大学附属竹早中学校
「特別の教科 道徳」ってなんだ?~子どもの内心に介入しない指導・評価
講師 宮澤弘道 さん
参加者18名(小9,中5,特支3,学生1)
*宮澤さんからのメッセージ
当日は多くの現役教員の参加があり、関心をお持ちの先生方の存在に励まされました。また、これまで話をさせていただいたどんな会よりも参加者の具体的な質問が多く、授業づくり講座がこれまで行われてきた学習の質の高さを感じることができました。
とはいえ、多くの先生方にとって道徳教科化はいくつかのトピックの1つでしかありません。また、教科書・指導書・ワークシートが使用されている小学校現場においては「困ることなく」教科書通りに実践できてしまう怖さがあります。だからこそ、まずはたくさんの先生に「困って」もらえるよう、教科化された道徳の本質的な変化について伝え、カウンターとなる授業を提案していけたらと考えています。この度は貴重な場を用意していただき、ありがとうございました。
*参加者の感想
・講座に参加して、人権教育の大切さを改めて感じた。子どもを一人の人間として尊重することを大切にして、道徳教育も含め日々の教育活動に取り組んでいきたい。
・教科化してもやることはそう変わらないのではないかと安心していた自分がいたが、反省の嵐だった。
・講座で聞いた「中断読み」を使って、子どもたちどうしが多様な考えに触れる機会にしていきたい。
・道徳に関して、ここまで考えたことはなかった。道徳に対する社会科教員としての使命も強く感じ、今日学んだことを普段の実践にも生かして生いきたい。
・道徳が現状抱える問題点をよくわかっていなかった。本日の講座を聞いて、現場ならではの問題点、課題点を知るとともに道徳を教科化する難しさを理解することができた。
・講座を通して、道徳資料を信頼しすぎてはいけないと思い、職場の先生にも伝えたくなった。また、自分は気を付けるアンテナを高くしておきたい。
・教科書に書かれていることを中心に、正しい一つの答えを学び、覚えることが大事だと考えていた。今回の話を聞いて、子どもの考えを縛らずに認め合うこと、個人の考えを大切にできることを目指した世の中にできる教育ができればと思った。
・道徳の教科化の捉え方について、教員、保護者、子どもの視点から大変わかりやすかった。人権教育を道徳に取り入れる危険性については特に印象的だった。
・自分の勤務校では、「ねらい」に忠実になることばかりが話題になるので、「ちょっとこわいな」と思っている。当日の空き時間で、指導書に目を通して授業を行うというくり返しだったが、もっと真剣に取り組まなくてはと思った。
・科学的でない道徳が、科学的である各教科を支配してしまうことに、自分自身も違和感を持った。
・道徳の授業内容、方法、評価まで、とても分かりやすく説明していただき、とても勉強になった。
・教科書の内容をしっかり分析して、どう授業に活かせるかを考えていく必要性があることを実感した。
・今回の講座を通して、道徳の授業をすることが少し楽しみになった。
*担当実行委員から
「道徳の教科化」というみんなが悩んでいるテーマだったので、参加者から、活発に質問が出て、宮澤さんが丁寧に答えて下さって、良い講座になったと思いました。
道徳が教科化されることで、教えることが明確になった一方で、そのことが子どもたちの思想や価値観を縛ってしまう危険性もあることがよくわかりました。理論的なことに加え、実例を交えたお話も多く、自分の道徳に対する指導のしかた、向き合い方を見直すきっかけになりました。道徳が教科化されるこのタイミングで、ただなんとなく教科書や指導書の通りにするのではなく、道徳をどのようにとらえ、現場で授業していくのかを考えていかなければならないと感じました(森下周亮)
「戊辰戦争150年」の上野を歩く
講 師:東海林次男さん
2018年7月15(日)
参加者 25名
<講師からのコメント>
今回は、猛暑の中、江戸・幕末維新・戦時下の3つの時代の上野を歩きました。ライトアップをするほどの人気があった上野大仏。関東大震災で頭が落下したことから忘れられていきました。それが合格大仏として売り出した5,6年前から、また知られるようになりました。
戦時下の金属供出があり、もうこれ以上落ちない大仏に。商売上手ですが、方広寺大仏に見立て、3度も地震にあい、金属供出もあったんだよ、ということは語らせたいですね。
同様に、本坊表門や「戦死之墓」、「慰霊碑 哀しみの東京大空襲」などにもそれぞれの思いを。語らせるのは、あなたです。
<参加者の感想(抜粋)>
* 東海林さんにはたくさんの写真・地図など、資料を用意していただき、大変分かりやすく学ぶこ
とができました。次の3つのことが、強く残りました。
・寛永寺の広さに、あらためて驚きました。天海は江戸城の鬼門を守るため、京に範をとり比叡山を東叡山、延暦寺を寛永寺。琵琶湖は不忍の池で竹生島を弁天島として築かせたと知りました。そういった考えは、天下統一を終えたばかり(江戸という日本の片田 舎に都を築いた江戸幕府にとって)の江戸幕府には心強いものがあったと思います。天海の出生がある程度明らかになる、川越の喜多院に天海が眠るミニ東照宮のような「慈眼堂」がある理由が納得できました。
・せっかく無血開城し江戸城に入れると思った明治新政府にとって、徹底抗戦を叫ぶ彰義隊は頭の痛い問題だったと思います。明治政府は、西軍を官軍、東軍を賊軍といい戦死者を弔わない上野戦争は、その後の政府の「西南の役(日本国ではない国との戦さ)」、「琉球処分(琉球王国をなくす)」、韓国併合(植民地政策)、満州国(植民地政策)といった侵略戦争への道の第一歩でした。天皇を守る、天皇のために死ぬといったことがすでに始まっているように思いました。
・東京大空襲における「逃げるな、火を消せ」という「防空法」は、ひどいですね。
* 東海林先生、暑い中、案内と説明ありがとうございました。
上野は何度も訪れているのですが、社会科的な内容は何も知らなかったのだなと 気付かせて頂きました。特に、京都を模して作られているということが印象に残っており、是非、自分でも生徒に伝えていきたいなと思っています。戦争や空襲に関する史蹟も多く、時間をかけて歩いてみると、総合的に学べる良い場所だなと勉強になりました。準備等、時間をかけて頂いたと思います。本当にありがとうございました。
* いつもぶらぶらと歩いている上野公園。これまでも見えていたはずだったのに、私
は何も知らずにいたのだな。もったいなかったなぁ。知らないことを知るって楽しいなぁと、小学生のようにわくわくして1日を過ごしました。そして、教師はこんなに楽しい思いを提供できる存在なのだ!と、改めて実感しました。自分もそうなりたいと強く思います。参加して本当によかったと思いました。ありがとうございました。
<担当実行委員から>
今年度のフィールドワークも猛暑の中でしたが、25名の参加者のもと安全に実施することができました。上野の街には、動物園や科学博物館、アメ横だけでなく、東京大空襲の慰霊碑、彰義隊の墓や上野大仏、徳川家に関する寛永寺などたくさんの歴史であふれていることが今回のフィールドワークでわかりました。
今回は、中学生(6名)や特別支援学校教員(5名)など、社会科に携わる教員以外の方の参加もあり、沢山の方と学びを共有できたことが嬉しかったです。これも実行委員の呼びかけ、そしてわかりやすい資料と丁寧な解説で上野の街を案内してくださった東海林先生のお力添えがあったからだと思います。ありがとうございました。
講師:斎藤英樹さん(元埼玉中学校教員・現文教大学講師)
テーマ ①過労死裁判を起こした遺族と中学生の交流
②大学生のブラックバイトについての授業
日 時:5月27日(日)10時~13時
会 場:東京学芸大学附属竹早中学校
参加者数と校種 12名(小学校2名 中学校6名 高校2名 特別支援学校2名)
参加者の感想
・問題のあることについて、「見過ごしてしまう」「我慢してしまう」ことが続いていくと、
人は「このぐらい我慢すべきだ」と正当化してしまう危険性があると感じました。また、一
人で訴訟を起こした人たちのことを伝えることは、その人の行動に助けられる人たちが沢山
いることを明らかにすることにつながり、社会を変えていく力になりうると思いました。現
在では、国会で審議されている「働き方改革」の問題を考えることもできると思いました。
・斎藤先生の授業に向き合う姿勢に信念を感じ、改めて自分の授業づくりを見直すところがあるなと感じました。社会の授業を通して、どんな生徒になってほしいか、どうしたら、生徒の思考をより深くさせることができるのかを見失わないようにしていきたいです。
・普段の授業実践の方法や心構え、過労死の実態と内容、大学生に聞いたブラックバイトの現状、学級経営で大切なことまで、様々な内容を教えていただき、明日からの学校を頑張ろうと勇気が出ました。また、授業に対して、懸命に向き合い、生徒をワクワクさせる、成長させるようにしていきたいです。生徒にこのような人になりたいと生きる糧を与えることも社会科の授業だと思いました。
・「理不尽=ブラック企業・部活・バイト」につながっているというのが印象に残りました。嫌なことを嫌だと言えない、耐えるしかないという雰囲気が過労死や自殺等の悲しい人をつくってしまっているのだと感じました。学校内でもそうですが、大人も多少のことは何でも言い合える雰囲気をつくることが大事だなと考えるようになりました。
・過労死裁判やブラックバイトの実態を通して、理不尽なことに対応できる力をつけたいと共感しました。何が理不尽なことへの抵抗で、何がただのわがままなのかの区別も難しいなと感じました。「ダメなものは、ダメ」という指導も時には、必要であり、その線引きも考える必要があるのではと感じました。
・発問が授業を支えるキーワードであり、そのための教材として「手紙」というのは新たな発見でした。また、教師の演じる力も必要であるという点で、授業でも赤面しながらも演じて生徒たちを引き込んでみたいと思いました。
・税の負担が重くて人民が逃げ、律令制が崩れた=民衆の行動により歴史が変わったと いう実例が良かったです。上尾の研究会で学んでいたころから、教材の選び方や授業の流れがすごいとは思っていましたが、今回の講座で、まとめて話が聞けて良かったです。
・歴史の授業も手紙の授業もまねしてやってみたいです。特に地域のことを考えて発問することで歴史が自分のものとして捉えられることやこの授業をしなければ公民をやっている意味がないというのが基準になっていることが心に残りました。
・発問のまずさによりその後の授業がグダグダになった経験は数知れず…。斎藤さんが 3つの種類に一般化され、すっきりとお話してくださったことがとても分かりやすかったです。しかも一方的な報告ではなく対話型ですすめられたことも、楽しく参加できました。アクティブラーニングとか、生徒が主体的に参加する授業と唱えながら、教師自身がそのような経験がほとんど無いのは珍しいことでは無いと思います。それなので大学でも同じように授業をされていると伺い、斎藤さんに担当してもらっている今の学生は幸せだなぁと感じました。
斎藤英樹さんより
私の拙い話を真剣に聞いて頂き、そして多くの質問をして頂いたことをありがたく思いま
す。参加されたた皆さんの姿勢に、次のことを思い出しました。私が30 代のとき、定年間近
の教師に「先生は、なぜそんなに、いろいろとアイディアが生まれるのですか?」とたずねた
ところ、「学んでいるから」と応えてくれました。そして、私が定年間近のときも、同じよう
な質問をされ、同じような応えをしました。
日曜日にわざわざ会場へ来て、学ぼうという姿勢が、教師を成長させることになると改めて
思いました。参加された皆さんのこれからの授業づくりに期待しています。
5月講座担当実行委員より
今年度最初の授業づくり講座への御参加、ありがとうございました!生徒が主体的に学ぶため
の発問の仕方や工夫、歴史を学ぶ意義については、生徒が住でいる地域との関連性を見いだす題
材を用意するなど、授業づくりにおける大切なポイントを教えていただきました。また、ブラッ
クバイトの授業は、これからの働き方改革を考える上で非常に重要なテーマだったと思いまし
た。理不尽なことに対しては「NO」を言える生徒を育てていきたいですね。
特に、印象的だったのが、過労死裁判の遺族の方への手紙のやりとりを通した授業実践です。
手紙を書くことで、自分の思いや考えを誰かに伝えることや書いた手紙に対する返信(何らかの
反応)があることは、生徒にとって貴重な体験であり、意義深いものになることがわかりまし
た。私は、特別支援学校に勤務していますが、ぜひ、授業の中で手紙のやりとりを通して、社会
に自分の思いを発信する取り組みをしていきたいなと感じました。